「症状固定」とは、交通事故によって傷害を負った人に対し、治療を続けても現在より症状の改善が期待できない状態になったことを言います。
治療を受けると一時的には良くなるものの時間が経つと元に戻ってしまう、全体的に見ると症状に変化のない状態を指します。
つまり、一定の後遺症を残して、治療を終了することを意味します。
(この時点で、治療費や休業損害などの支払いが終了します。)
上の表をご覧ください。事故発生日の痛みや症状の程度を「10(最も重い)」と仮定しています。
事故発生後、治療を受けることにより痛みや症状は軽くなっていきます。
そのまま軽くなっていけば「0(治癒)」となりますが、ある程度の時期を過ぎると治療の効果が出てこなくなる場合があります。具体的には、治療を受けると一時的には良くなるものの時間が経つと元に戻ってしまう、全体的に見ると痛みや症状に変化のない状態になります。
このような状態を「症状固定」と言い、医師と相談して診断されます。
「症状固定」となりますと、それ以降に発生した治療費や休業損害などは、原則として、請求できません。
しかし、自賠責保険に対し後遺障害の申請をし、後遺障害等級が認められますと、治療中に生じた「傷害による損害」にあわせて「後遺障害による損害」も請求することができます。
また、場合によっては、ご自身が加入されている「傷害保険」や「搭乗者傷害保険」、「交通事故共済」等からも後遺障害の保険金を受け取ることができます。
ここで注意が必要なのは、「症状固定」になったにもかかわらず後遺障害と認められなかった場合です。これを「非該当」と言いますが、この場合「治癒」と同様の扱いとなり、治療中に生じた「傷害による損害」しか請求できません。
一般的に、自賠責保険の後遺障害と認められ「後遺障害による損害」を請求できる場合と、「非該当」によって請求できない場合とでは、賠償額に数百万円もの差が出てしまうことがあります。
以上のことから、残念ながら「治癒」に至らずに「症状固定」と診断された場合には、後遺障害の認定が非常に重要であることがご理解頂けるかと思います。
損害賠償を大きく2つに分けてみると「傷害による損害」と「後遺障害による損害」があります。